漢方薬ってどんなお薬?

●漢方薬と西洋薬の違い●

    皆さんは普段、どのようなお薬を飲んでいますか?一般的には、漢方薬よりも、西洋薬に馴染みがある方が多いのではないでしょうか。

    西洋薬の特徴は、一種類の成分からなり、熱や痛みをとったり、血圧を下げたりなど、単一の症状や病気に対して強い効果があります。

また、西洋薬は有効成分がどれだけ入っているかが重要な目安になります。

    一方、漢方薬は複数の生薬(植物の皮・根・果実などを加工した物や動物を使った物)を組み合わせた薬で多くの成分を含んでいます。

慢性的な病気や全身的な病気の治療など複雑多彩な症状に効果を発揮します。 

さらに、漢方薬は成分だけでは無く味や香りも効果に含まれています。

また、煮出し方でも効果が変わる特徴もあります。

●煎じ薬とエキス薬の違い●

漢方薬には大きく分けて「煎じ薬」と「エキス薬」があります。

イメージとしては、煎じ薬は豆から淹れたコーヒーで、エキス薬はインスタントコーヒーを想像すると解りやすいと思います。

煎じ薬

生薬を水で煮出してその成分を浸出させた薬です。

手間はかかりますが液状なので消化吸収が良く、効き目が優れています。

また、症状や体質・体格に応じて生薬の分量を増減することが出来るので、その人に合ったオーダーメイドの薬が作れます


エキス薬

生薬製薬工場で煎じてエキス成分を抽出し顆粒や粉末に加工した薬です。

煎じ薬と違い手間がかからない上に携帯しやすいため、旅行先や入院先でも飲みやすく、便利です。また、煎じ薬特有の味や匂いがほとんどないので、漢方薬が苦手な方や子供でも飲みやすいのも特徴です。


   一見とても便利なエキス薬ですが、デメリットもあります。

エキス薬はスプレードライ法で水分を蒸発させるので生薬の香りの成分である精油成分が蒸発してしまいます。精油成分の中にも色々な薬効があるので煎じ薬に比べるとどうしても効果が落ちてしまいます。

   一方、煎じ薬は漢方薬の大切な構成要素である味や香りなどを最大限に引き出せるのでエキス薬と比較すると高い薬効が期待できます。ただ、保険がきかない場合もあるので、医療機関や薬局でご相談ください。

●身近な生薬●

生薬の中には身近な物が多数あるのでいくつかご紹介します。

チンピ:みかんの皮。美肌効果や体を温めたり胃を元気にする効果など

ケイヒ:シナモン。鎮痛・鎮静・抗菌や体を温める効果など

ショウキョウ:生姜。唾液分泌効果や体を温める効果・強心作用など

ボレイ:牡蠣の貝殻。精神安定効果や少し冷やす効果など

また、サンショウキキョウなどそのままの名前の生薬などもあります。


今まで漢方薬と馴染みがなかった方も、漢方薬とはどんなお薬か、興味を持っていただけたでしょうか?

西洋薬を使っても、なかなか改善の兆しが見えない方や慢性的な症状が有る方、病気では無いけれどなんとなく調子の悪い方は一度漢方薬を試してみてはいかがでしょうか?